効果音を創ろう
|
|
![]() |
最後にタシケン御推薦のハンカチです。よほど自信があるのか、ハンカチを降る態度からして気合いが入っていますね。
タシケン「「鳥の羽ばたき」と言えばハンカチ。それくらい常識ですよ!」 そう言うとタシケンは、匂いたつよれよれのTハンカチUを激しく振りかざしてきます。私がそれを怪訝な顔で見ていると、 タシケン「ハンカチなんかじゃまともな音なんかしないと思ってるでしょ?ホレ!ホレ!!」 筆者「うう臭っ!!お・・おえっ!!」 |
タシケン「ちょっとちょっとお!今度はギリギリまでマイクに近づけてやるんだからちゃんとマイクフォローお願いしますよ!」
筆者『う・・なにおおお!!!』 怒りに打ち震える私が、マイクを持った左手を小刻みにふるわせたのは言うまでもありません。それをあざ笑うかのように武田氏は、匂いたつハンカチをまるで手品師が鳩を出すときのような持ち方をして勢いよくばたつかせてきます。 これはきっと、私が夜中までつき合わせた腹いせでやっているに違いないと思っていました。 |
![]() |
それにしても、あまりにも人をおちょくったやり方だったので、私もマジ切れしそうな5秒前(MK5)でしたが、ヘッドフォンを通して聞こえてくる音は、意外にも「鳥の羽ばたき」の感じが出ているではありませんか。
しかもヨレヨレシワシワのTハンカチUが幸いし、布がこすれあう音もランダム感が出て、わざとらしさが消えたよい「鳥の羽ばたき」の音が録れました。 ハンカチの布がかすかにこすれあう微妙な音。それをマイクにかなり近づけて録音すると、思いもかけなかった音に変貌することがあります。これを近接効果といい、マイクに近い音は、大きく、マイクに遠くの音は、小さく感じるといった人間の習性を利用した録音方法です。この録音方法は効果音作りでよく使われる方法ですが、いずれこの連載で紹介していきたいと思います。 その後、タシケンは、それ見たことかといった自慢げな笑みを浮かべて鳥のポーズをとっていました。 |
|
|
|
今回効果音創りを挑戦された方の中に、テープスピードが変えられるラジカセをお持ちの方は、テープスピードを早くしたり遅くしたりするのも面白いでしょう。カセットテープでT羽ばたきUを録音された方は、良いですが、MD等のディスクでT羽ばたきUを録音された方は、一度別のカセットテープにダビングして、テープスピードを変えて見てください。
テープスピードをどんどん遅くしていくと、鷹や鷲くらいの大きな鳥の羽ばたきになります。さらに加工したい人は、その遅くした羽ばたく音をビル内にある非常階段や体育館などの残響が大きな場所で再生し、その響いた音をマイクで録音してみましょう。すると、キングギドラみたいな怪獣の羽ばたく音になります。 最近は、TSound EditUなどのソフトを使えば、デスクトップ上で簡単に再生スピードを変えたり、残響を付ける事ができます。が、そこは「効果音を創ろう」の手作りの醍醐味に欠けてしまうので、あえてしないようにしています。 このように、一つの効果音を創るのは、結構大変ですが、その創った音をアイディア次第でいろいろと加工していくことで、思いも寄らない効果音を創れることがあります。
|
|